加熱式たばこglo™を使用するとベイパー(蒸気)が発生します。そのため、ベイパー(蒸気)の中に何か懸念されるような物質が含まれているのか気になる人もいらっしゃるでしょう。本ページでは、加熱式たばこglo™に関連する各種成分、放出量、ベイパーに含まれる有害性物質について詳しく解説しています。
BATグループは研究を続けており、以下に示す結果は、この製品が他のたばこ製品よりも健康への影響が少ないことを意味するものではありません。
下記に紹介する調査は、最初期モデルのglo™とケント・ネオスティック・ブライト・タバコを用いて行われました。
ネオスティックの平均質量は494mg/本です。以下の構成成分から構成されています。
表1. glo™ネオスティックの主要構成成分と含有レベル
構成成分 | 含有レベル (%) |
---|---|
再構成たばこ | 52.1 |
香料 | 0.4 |
排熱管(HDC) | 19.6 |
一体型フィルター(ペーパーチューブ8mm+CA 8mm) | 13.9 |
チップペーパー | 6.8 |
チップペーパー用接着剤 | 2.2 |
たばこ巻紙 | 3.8 |
巻紙用接着剤 | 1.0 |
放出量については、製品の使用時に(煙または蒸気を吸いこむ)、放出されるもの(煙または蒸気)を調べています。放出物に含まれるものを把握することは重要です。なぜなら製品使用時にどのような物質に曝される可能性があるかがわかるためです。
放出量は、吸込の頻度、時間、大きさ/容積を定めたプログラムにしたがって動作する試験室ベースの吸込装置を用いて測定されます。自動喫煙器はレファレンスたばこ「3R4F」から発生する煙およびglo™から発生する加熱式たばこベイパーを捕集するために用いられます。
なお、「3R4F」は、試験室ベースの試験に使用するためにケンタッキー大学によって開発された実験用標準紙巻たばこです。
表2 レファレンスたばこ「3R4F」とglo™からの放出量を測定するために使用した吸込みの方法*¹
製品 | 測定方法 | 吸込量 (ml) |
吸込時間 (秒) |
吸込間隔 (秒) |
通気孔の閉鎖 | 参考文献 |
---|---|---|---|---|---|---|
3R4F | HCI | 55 | 2 | 30 | 100% | Health Canada 1999 |
glo™ | HCI-m* | 55 | 2 | 30 | NA | Health Canada 1999 |
*HCI-m: health Canada Intenseを改変、通気孔の閉鎖0%
紙巻たばことネオスティックの主な違いは、たばこに使用されているグリセロールおよびプロピレングリコールがたばこに使用された量です。上記の違いとglo™がたばこを燃焼するのではなく加熱するということから、glo™によって発生する加熱式たばこベイパーが紙巻たばこの燃焼によって発生する煙とは大幅に異なっていることが示唆されます。
レファレンスたばこ「3R4F」(煙)とglo™(加熱式たばこベイパー)の主流煙エアロゾル*の構成成分を比較しました。エアロゾルの水分、ニコチン、グリセロール、プロピレングリコールおよび粒子(TPM)の含有量を以下に記載します。
表 3 .レファレンスたばこ「3R4F」とglo™の主流煙エアロゾル構成成分の比較*²
製 品 | TPM (mg/本) |
水 (mg/本) |
ニコチン (mg/本) |
グリセロ―ル (mg/本) |
プロピレン グリコール (mg/本) |
その他 (mg/本) |
---|---|---|---|---|---|---|
3R4F | 46.9 | 15.1 | 2.02 | 2.34 | 0.02 | 27.42 |
glo™ | 26.1 | 12.1 | 0.46 | 3.02 | 0.39 | 10.13 |
*エアロゾル:気体中に浮遊する微小な液体または固体の粒子と周囲の気体との混合体
多くの科学者は、喫煙に関連する疾患の大半について原因と考えられるものは、加熱ではなく、燃焼により発生する有害性物質であると同意しています。
WHO(世界保健機関)のたばこ製品規制に関する研究グループ (The WHO Study Group on Tobacco Product Regulation - TobReg)は、紙巻たばこの煙中*3での低減が推奨される9つの優先すべき有害性物質の名前を挙げています。
紙巻たばこの煙中のレベルと比較して、glo™からの放出量は9つの主要な有害性物質レベルが大幅に低減していることが判明し、定量下限未満の場合もありました。
表4. 紙巻たばこ(レファレンスたばこ「3R4F」)とglo™の主流ベイパー中の有害性物質*⁴
成分 | 「3R4F」 (生成物/たばこ) |
glo™ (生成物/ネオスティック) |
---|---|---|
アセトアルデヒド (µg) | 2200 | 111 |
アクロレイン (µg) | 157 | 2.22 |
ベンゾ[a]ピレン (ng) | 12.9 | NQ |
ベンゼン (µg) | 78.6 | NQ |
1,3-ブタジエン (ug) | 108 | BDL |
一酸化炭素 (mg) | 32.0 | NQ |
ホルムアルデヒド (µg) | 54.1 | 3.29 |
NNK (ng) | 28.1 | 6.61 |
NNN (ng) | 263 | 24.7 |
NQ = 定量下限未満; BDL = 検出限界未満
BATグループの紙巻たばこ、LUCKY STRIKE Regular(SR, 7mg/cigarette, ISO tar level)とglo™による環境への有害性物質の放出量(マーカーとして選定したものを表5に示す)を比較するために、被験者は環境が制御された部屋で4時間glo™を使用しました。部屋の空気をサンプリングし、被験者が紙巻たばこを吸った部屋からの空気や、自宅の環境またはオフィスを模した部屋からの空気も比較しました(すなわち、煙がない状態、またはglo™を使用)。
glo™の部屋からサンプリングした空気は、大半の被験有害性物質が全く検出されない、または、いずれの製品も使用しない部屋の有害性物質レベル(ベースライン)を超えませんでした。この結果から、glo™からの環境への放出量はWHO屋内・屋外空気質基準を満たすことが示されました*⁵ *⁶。
表5.紙巻たばことglo™からの環境への有害性物質の放出量*⁷
ベースライン | Lucky Strike Regular | glo™ | |
---|---|---|---|
揮発性有機化合物(VOC) (µg.m-3) |
|||
1,3-ブタジエン | nd | nd | nd |
イソプレン | 16 | 197 | 16 |
アクリロニトリル | nd | nd | nd |
ベンゼン | 1 | 17 | 1 |
トルエン | 2 | 31 | 3 |
プロピレングリコール | nd | nd | nd |
アクリルアミド | nd | nd | nd |
カルボニル化合物(µg.m-3) | |||
ホルムアルデヒド | 16 | 36 | 18 |
アセトアルデヒド | 5 | 100 | 10 |
アクロレイン | nd | nd | nd |
クロトンアルデヒド | nd | nd | nd |
その他(µg.m-3) | |||
ニコチン | 2.4 | 58 | 0.3 |
3-エテニルピリジン | nd | 9 | nd |
TSNAs¹ (µgフィルター上) | nd | nd | nd |
PAHs² | nd | nd | nd |
グリセロール | nd | nd | nd |
CO (ppm) | nd | nd | nd |
NO (ppb) | 21 | 44 | 4 |
NO2 (ppb) | 9 | 10 | 8 |
NOX (ppb) | 29 | 54 | 12 |
PM1.0 – モビリティ | 35 | 505 | 6 |
1 TSNA:4-N-ニトロソノルニコチン(NNN)、4-(メチルニトロソアミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノン(NNK)、N-ニトロソアナタビン(NAT)、N-ニトロソアナバシン(NAB)。 2 PAH:アセナフテン、アセナフチレン、アントラセン、ベンゾ(a)アントラセン、ベンゾ(a)ピレン、ベンゾ(b/k)フルオランテン、ベンゾ(ghi)ペリレン、クリセン、ジベンゾ(ah)アントラセン、フルオランテン、フルオレン、インデノ(123-cd)ピレン、ナフタレン、フェナントレン、ピレン。nd = 非検出
*1: Health Canada (1999). Tobacco Reporting Regulations. http://www.hc-sc.gc.ca/tobac-tabac/legislation/reg/indust/method//index-eng.php#main (Accessed 30th March 2017)
*2:Murphy et al (2017). Assessment of tobacco heating product THP1.0. Part 9: The placement of a range of next generation products on an emissions continuum relative to cigarettes via pre-clinical assessment studies. Reg Tox Pharm (submitted)
*3:World Health Organization & WHO Tobacco Free Initiative. (2008). The scientific basis of tobacco product regulation: second report of a WHO study group. World Health Organization. series no. 951 https://apps.who.int/iris/handle/10665/43997
*4:Forster et al (2017a). Assessment of tobacco heating product THP1.0. Part 3: Comprehensive chemical characterisation - harmful and potentially harmful aerosol emissions. Reg Toxl Pharm. (submitted)
*5: WHO, (2010). Guidelines for Indoor Air Quality: Selected Pollutants. http://www.euro.who.int/__data/assets/pdf_file/0009/128169/e94535.pdf (accessed April 27, 2017).
*6: WHO, (2016). WHO Expert Consultation: Available evidence for the future update of the WHO Global Air Quality Guidelines (AQGs). http://www.euro.who.int/__data/assets/pdf_file/0013/301720/Evidence-future-update-AQGs-mtg-report-Bonn-sept-oct-15.pdf (accessed April 27, 2017)
*7:Forster et al (2017b). Assessment of tobacco heating product THP1.0. Part 4: Characterisation of indoor air quality and odour. Reg Tox Pharm (submitted)